自己PRが書けない②合格レベルに書く法則・コツ・例文・テンプレ

就職活動
結論、「正解の自己PR」は、面接官が持つ「評価シート」から逆算したものである。

ポイントをもう1つ、

「評価シート」、は経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」に沿っている。

 

前回の記事は、5つのレベル分けから考える「正解の自己PR」の姿の紹介でした。
第2回目の今回は、「正解の自己PR」の具体的な内容について説明します。

就活参考書であろうと、キャリア支援課のアドバイスであろうと、自己PRを作るには、まず入念に自己分析をするようにアドバイスされます。

それは間違いないです。

でも、ただやみくもに、子どもの頃からの自分自身を、あらゆる方向から振り返るのは、あまりおすすめしません。
無駄が多いことももちろんですが、広げすぎてぼやけてしまう可能性が高いからです。

ここはやはり戦略的にやりたいものです。

目的やターゲットを明確にして、効率よくやるということです。

「正解の自己PR」とは、どんな内容で書く・話すものなのか。
今回の記事はそれをはっきり明確にすることがメインテーマです。

それでは、始めます。

自己分析のターゲットは何か?

「正解の自己PR」を書くために自己分析をします。
そのためにやみくもに広く分析するのはやめて、狙ったターゲットに向けて分析したいものです。

例えば、「正解の自己PR」が「継続的に努力した経験」をアピールすることなのに、「臨機応変に対応した経験」を熱心に振り返って分析しても無意味だということです。

ということは、それには「正解の自己PR」が分かっていなければなりませんよね。

転職ならば

転職のための面接用自己PRであれば、とても正解はとても分かりやすいです。
求める人材がはっきりしているからです。

求める人材は、

「過去の経験が、新しい職場でも使える人」

です。

いわゆる「再現性が高い」ってやつです。

だから受験先の業種・職種に合わせて、「私の経験やスキルはあなたの会社でもバッチリ使えますよ!」というのが「正解の自己PR」になるわけです。

新卒・第二新卒ならば

新卒となると、いきなり難しくなります。
「再現性」を意識して自己PRが作れるのであれば良いのですが、きっと多くの人がアルバイト経験があるのみで、仕事に直結するような経験が少ないので、なかなか難しいです。

でも実は、新卒や第二新卒の就職活動では、無理に「再現性」を意識しなくて良いのです。
なぜなら、そもそも採用側が新卒の方に「再現性」など求めていないからです。

「再現性」というのは言い換えれば「即戦力」です。
それこそ中途入社の転職者に求めているものです。

新卒に即戦力を求める会社はマヌケです。
新卒就職フェア等で「即戦力求む!」みたいな会社があれば近寄ってはいけません。
人材に関して何も理解できていない怪しい会社です。

では、新卒の就活者にとっての正解自己PRは何か。

「正解はないのだから、一人ひとりが自分の長所をしっかりアピールしてください」

なんて、よくある無責任なことは言いません。
というか、こんなの無責任じゃなくてウソつきです。

なぜなら、新卒であっても自己PRの「正解の内容」は存在するからです。

新卒就活者の自己PR「正解の内容」

転職者であれば「再現性」が正解の内容です。
新卒者であれば、正解は、

「評価シート」です。

「評価シート」?
なにそれ?って思いますよね。

採用試験の面接官が、面接試験の時に採点に使っている「シート」のことです。

君が、面接試験を受けているときに面接官が持っている紙です。

その評価シートに基づいて採点しているのですから、それが正解なのは当たり前です。

というか、自己PRに限らず、「志望理由」にしろ「学生時代に力をいれたこと」にしろ、「評価シート」に沿った回答ができれば必ず評価が高まるということです。

そりゃそうですよね。
だってまさに「答え」なのですから。

「評価シート」は入手可能

「売ってんの!?」

残念ながら売ってはいません。
でも無料でダウンロードできます。

「なに!?」
「マジ!?」

マジっす。

でも、もう少しだけ説明を聞いてください。

私は現在も年間14社の採用面接官をしています。
また、5000社以上の就職試験情報にアクセスが可能です。

就職試験情報というのは求人情報ではありません。

  • エントリーシートの形式
  • 面接官の人数・座席配置
  • 面接試験の質問事項
  • グループディスカッションのテーマ

などです。

そして「評価シート」です。

さすがに5000社全部の「評価シート」は入手できませんが、200以上は持っています。
それに、たくさんの「評価シート」を入手する必要もないのです。

なぜなら、どれも、だいたい、同じだからです。

と言っても、残念ながら全国共通フォームみたいものはありません。

評価シート① 「社内共通フォーム」

面接官が大勢いるような大企業だと、面接官によって評価方法にばらつきがでないように、全員同じ評価シートを使っています。

合否自体は、それぞれの面接官の裁量で決まります。
しかし、例えば同じ第2次選考なのに、面接官によって評価の視点がバラバラでは困ります。
それを防ぐために、視点を揃えるための社内共通フォームがあるわけです。

評価シート② 「プロが作った評価シート」

「納得のいく就職がしたい」、「たくさん内定が欲しい」と考える君と同様に、企業も「満足できる採用がしたい」、「たくさん応募してほしい」と考えています。

順調に大勢の応募があり、狙いどおり順調に採用が進む企業は多くありません。
数多くの企業が採用活動に悩みを抱えています。

その悩みの1つが面接試験です。

「周りとうまくやれる人を採用したい。」
「うちの業界で活躍してくれる人材を見抜きたい。」
「内定辞退しない人に内定を出したい。」

などなど、面接試験だけでもたくさんの悩みを抱えています。

そのような悩みの解決のために企業は、私たちのような、採用試験のプロに面接官を頼んだり、採用計画全体の設計を任せたりします。

その中で、私たちプロが面接試験の「評価シート」を作成します。

それぞれのプロが、それぞれの経験に基づいて作成します。
しかし私の経験上、今まで目にした評価シートはどれも、7割以上の採点項目がほぼ同じです。

評価シート③ 「なし」

「評価シート」がない企業もあります。
社長など特定の人物の意向が大きく反映するような、ワンマン経営企業やベンチャー企業などに多いです。

バランスの良さや公平性よりも、ワンマン社長などの特定人物が、その人物を気に入るかどうかで最終的に決まってしまう場合は、評価シートを使って(真面目に)採点する意味がないためでしょう。

 

逆算すべき「評価シート」

知りたいのは自己PRを作るうえで参考にする「評価シート」ですよね。
それは自己PRを作るときに、逆算すべき「正解の評価シート」です。

上で「評価シート」パターン①②③を紹介しましたが、①②③すべてを意識しなくても大丈夫です。
ちゃんと正解の「評価シート」は存在するからです。

まず③は無視します。
理由は、正解の「評価シート」で高得点であれば、ワンマン社長も高得点だからです。

そして、評価シート①と評価シート②の内容はだいたい同じです。

では、正解の「評価シート」を発表します。

人生100年時代の社会人基礎力

お待たせしました。

正解の「評価シート」。
それは、2006年に経済産業省が作成・提唱した『社会人基礎力(3つの能力・12の能力要素)』です。

これが正解の「評価シート」の元ネタであり、君が、自己PRを作成するときに、参考にすべき「正解の自己PR内容」です。

企業や官公庁が採用試験で使用している評価シートの多くが、これらの項目そのまま、もしくは類似する項目が採点項目となっています。

この『社会人基礎力(3つの能力・12の能力要素)』は、2017年に経済産業省によってアップデートされ現在は『人生100年時代の社会人基礎力』となっています。

経済産業省の詳しい資料はこちらでダウンロードできます。
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

とはいえ、新卒採用現場においては変わらず「12の能力要素」に基づいて採点がされています。

多くの企業が面接試験で使っている「評価シート」が、この「3つの能力・12の能力要素」を元にして作られていると言いましたが、これを元にしていないとしても、まともに人物評価しようとすれば、これらの項目に収束されるはずです。

それは採用のプロである私の職業経験上、間違いなく言えることです。

特殊な専門職や、特別な人材を求める職種でない限り、全方面的に通用する評価項目です。

ですから、これが「自己PR内容の正解」なのです。

これに適合するように自己PRを作れば、高評価が得られますし、点数化されないとしても、非常に好印象を持たれる人物に映ります。

正解の自己PRの考え方

でも、いま、君、ゲンナリしてるよね?

「なんだよ、これ、無理無理無理無理」
「これが正解だとしても、無駄無駄無駄無駄」
「12個って、多すぎるわ、星座かよ」

ってなってるよね?

安心して。
ここからが解説の始まりです。

12の能力要素

まず大前提として、前回記事で説明したとおり、自己PRレベル3以上でなければ自己PRとは呼べません
そして、できればPDCAサイクルに乗せて、自己PRを構成したい。

なぜならPDCAサイクルに乗っているだけで、12の能力要素の半数以上をカバーできるからです。

「正解自己PRの姿」=「PDCAサイクル」
「正解自己PRの内容」=「社会人基礎力12の能力要素」

ということは、

「12の能力要素を意識したPDCAサイクル自己PR」
これが目指すべき、「正解自己PR」です。

「PDCAサイクル」と、つながる「社会人基礎力12の能力要素」

社会人基礎力12の能力要素を改めてPDCAに合わせて確認します。

◆PDCAサイクル

Plan(計画) …現状把握、問題点の洗い出し、課題分析
Do(実行) …Planに基づいた実行
Check(評価・検証) …Planで掲げた目標がDoによりどれだけ達成されたか
Action(改善) …改善案の検討、計画の立て直し

◆つながる「社会人基礎力12の能力要素」

 

主体性「物事に進んで取り組む力」

=自己PRレベル3以上で書きましょうということ。

 

働きかけ力「他人に働きかけ巻き込む力」

=PDCAの「Action」に、人を巻き込んだ改善策を盛り込みたい。

 

実行力「目的を設定し確実に行動する力」

=そもそもPDCAがそれだよね。

 

課題発見力「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」

=そもそもPDCAがそれだよね。

 

計画力「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」

=そもそもPDCAがそれだよね。

 

創造力「新しい価値を生み出す力」

=新しい価値?なんだか説明が大げさすぎて恐れ多いけど、PDCAの「Action」にあたる課題の改善策に、オリジナリティがあると良いなってこと。

そうです、自己PRレベル5のことです。
だから無理に誇張したり、作り話をしなくて結構です。

 

発信力「自分の意見をわかりやすく伝える力」

=人を巻き込むとき(②)に、どんな工夫をしたか。
だからこれは、どちらかと言えば面接試験で、自己PRを深掘りされたときの回答として用意しておきたい内容です。

 

傾聴力「相手の意見を丁寧に聞く力」

=⑦と同じく、人を巻き込むとき(②)に、どのように相手の意見を尊重したか。
これもまた、自己PRの深堀り対策としての位置づけです。

 

柔軟性「意見の違いや立場の違いを理解する力」

これは⑦⑧が説明できれば、にじみ出てくるものなので、特にこれに合わせたエピソードを盛り込まなくてもオッケーです。

 

状況把握力「自分の周囲の人々や物事との関係性を理解する力」

=人を巻き込んでPDCAサイクルが回せるってことは、状況把握力が高いってことです。
自己PR全体から、周りの人や状況に合わせて改善を図ることができたことが分かれば良いです。

また長所のテーマとしても相応しい言葉なので、
「私の長所は状況把握をする力です。私は学生時代~」
のように、自己PRのテーマに持ってきても素敵です。

 

規律性「社会のルールや人との約束を守る力」

=これは自己PRレベル1や2の内容です。
ですから、自己PRのメインに据えるのは物足りないです。
補助テーマや、面接試験全体を通した誠実な回答・雰囲気で表現する部分です。

ちなみに、補助テーマというのは自己PRのメインテーマにはしないという意味でした。
例えば、
「私の長所は状況把握をする力です。私は元々ルールや規則について誠実に守れるタイプなのですが、」
こんな感じです。

メインテーマは状況把握力、補助テーマとして規律性を匂わせている例です。

 

ストレスコントロール「ストレスの発生源に対応する力」

こちらも⑪同様に、補助テーマもしくは面接全体を通して匂わせたい内容です。

 

PDCAサイクルの威力

改めて面接試験におけるPDCAサイクルエピソードの威力を分かってもらえたのではないでしょうか。

たとえPDCAなど意識したことがなくても、過去の努力した経験を、自己PR用にPDCAサイクルに乗せて再構成するだけで、面接官が持っている評価シートに一気に接近できるのです。

①主体性=PDCAで説明可能

②働きかけ力=PDCAで説明可能

③実行力=PDCAで説明可能

④課題発見力=PDCAで説明可能

⑤計画力=PDCAで説明可能

⑥創造力=自己PRレベル5

⑦発信力=PDCAへの深掘り準備

⑧傾聴力=PDCAへの深掘り準備

⑨柔軟性=⑦⑧で対応可能

⑩状況把握力=PDCAで説明可能

⑪規律性=面接試験全体を通して伝える

⑫ストレスコントロール=面接試験全体を通して伝える

結局、自己PR以外も

この一連の記事は、「自己PRの書き方」を主題に書いています。
しかし、勘の良い方は気づいたのではないでしょうか。

そうです。
自己PRどころか、面接試験全体を通して見られているはこの社会人基礎力です。

社会人基礎力12の能力要素に基づいた評価シートを使っていない企業も多くあります。
しかし、結局知りたいのはこの「社会人基礎力」があるかどうかです。

私が面接官をしている企業には、ワンマン社長がほぼ独断で合否を決める企業もあります。
隣に座り、質問をする私は社会人基礎力に基づいて質問を投げかけます。
そして、12の能力要素のうち多くを備えているだろうと思える方、すなわち私の評価シートで高得点の方は、結局、ワンマン社長にとっても高評価です。

なぜなら「社会人基礎力3つの能力・12の能力要素」は経済産業省の役人が何となく作成したものではなく、現場の声や、さまざまなデータの集約だからです。
簡単に言えば「正解」です。

自己PRどころか、面接試験の「正解」です。

これが、就職試験に臨む君たちが目指すところです。

君がプレッシャーに感じたら嫌なので、何度も言いますが、

12の能力要素を備えた人物になれとは言っていません。
「12の能力要素に沿って、自己PRを作り、面接試験で受け答えをしてね。」
と言っているだけです。

もちろん間に合う人は、今すぐ今夜のアルバイトから、12の能力要素を備えるための修行を始めてください。

でも、現実的にはこれは「面接テクニック」の話です。

だって、私も含めて、12項目に当てはまるような立派な奴、そうそうおらん。

 

次の記事で、いよいよPDCAに乗せた自己PRの書き方のレッスンを始めます。

大丈夫大丈夫。
かならずうまくいく。

 

ムネハル 40代男 就職・転職アドバイザー

タイトルとURLをコピーしました